強壮剤「ガラナ」とは?
ガラナ(ブラジルポルトガル語:guaraná - グァラナ、学名:Paullinia cupana) は、ムクロジ科ガラナ属のつる植物。原産地はアマゾン川流域。
果実は小さく丸く、房状に生る。果皮は赤く、熟すると実が弾け、黒い種が現れる。ガラナの種子にはカフェインやタンニンが豊富に含まれており、ここからアルコール抽出したエキスは疲労回復や滋養強壮に用いられる。グアラニー族は種皮をむいて洗った種子を粉にし、練って固形状にしたものを必要に応じてすりおろして湯に溶かし、砂糖で甘みをつけて飲料とする。
ブラジルではガラナ主に飲料として盛んに利用されている。日本では、ガラナを配合したチョコレートが強壮剤の一種として販売されるが、一般的には炭酸飲料であるガラナ飲料が知られる。また近年では、ガムやタブレットに配合されたものが販売されている。
北海道のスーパーやコンビニで、当たり前に並んでいる清涼飲料水「ガラナ」。本州以南の人にとっては聞きなれないが、北海道では50年以上前からある人気ドリンクだ。面白いのは、北海道の“ご当地モノ”ではないのに、北海道“だけ”で広まったという点。一体「ガラナ」と北海道にはどんな関係があるのか? 気になる疑問を、北海道でガラナの製造をする飲料メーカーの小原さんにぶつけてみた。
■そもそも「ガラナ」とは?
「ガラナ飲料は、ブラジルアマゾン川のごく一部の流域でのみ採取される『ガラナ』という木の実から抽出したエキスに、糖分や炭酸を加えて作っているんです」と、小原さん。ガラナの実は、昔からブラジルの原住民が“不老不死”として扱っていた元気の源で、インディオたちが、祭典の際にこれを飲んで、3日3晩踊り続けたという話もあるのだとか。現在の調査でも、カフェインやカテキンが多く含まれていることが証明された、体にいい飲み物なのだそう。
■ガラナの伝統的利用法
種を煎じる場合は、1回0.5〜1カップを1日3回、4:1チンキは1回1〜3mlを1日1〜3回摂取するのが量的目安となります。ガラナシード粉末は1回1〜3gを1日1〜3回を目安にカプセルかタブレットにいれたり、摂取するか、ジュースやスムージーに混ぜてお召し上がりください。治療目的での摂取量は、1日4〜5gとの報告があります。市販されているガラナエキス製品は、各々製品ラベルの記載情報を参考に。
■ガラナの禁忌
妊娠中、授乳期間中の使用は禁忌です。ガラナにはカフェインが含有されています。カフェンまたはキサンチンに過敏であったりアレルギーがある場合の使用は禁忌です。カフェインの過剰摂取は、高血圧、心臓病、糖尿病、潰瘍、癲癇等々の方には禁忌です
■ガラナの薬との相互作用
ワルファリン等血液凝固阻止剤に対し作用する可能性があります。MAO抑制剤と併用する場合、頭痛等副作用が考えられます。
■ガラナの効能に対する科学的アプローチ
先住民によるガラナの利用には長い歴史がありますが、一方でガラナの効能が科学的にも十分に根拠があることが、ゆっくりとしかし確実に、明らかになりつつあります。
1989年、米国においてガラナの種のエキスが哺乳類の血液中の血小板の凝固を抑制することができるとする特許が正式に提出されていますが、ここではガラナには血液の凝固を防止したり、既に凝固してしまっている血液を分解する効能があることが説明されています(6)。この特許に関連し、ブラジルの研究グループにより、血液凝集に対抗するガラナの特性に関する実験が実施されていて、その臨床データが1989年と1991年の2回に渡り提出されています(7)(8)。ここにおいて、心臓強壮や『血液を薄める』など先住民による伝統的利用法について科学的評価が与えられています。
ガラナが持つ精力強壮作用や精神的な鋭敏さを増す効果、記憶力を向上させる効果についても近年科学的な根拠が与えられています。1997年に行われたネズミを使った生体内実験では、肉体的能力の向上、ストレスにさらされた環境での肉体的耐久力の向上、継続的な投与のみならず、一回きりの投与でも記憶力が向上することが実証されています。興味深いことに、この実験ではガラナから抽出したカフェインだけの投与や朝鮮人参エキスよりも、ガラナの種全体から作ったエキスの方が効果的であると結論づけています(10)。別のブラジル研究班によるリサーチでは、ガラナの記憶力向上効果は、種に含まれているエッセンシャルオイルに関係していると報告されています(11)(12)(13)。マウス実験の結果、ガラナには記憶保持力を向上させたり、健忘症を防ぐ作用があるこが立証されています。"神経に負荷をかけることなく"、持久力やメンタル的な注意力を高める作用について、ガラナを含む2種類の薬草に関する特許が米国でファイルされています。ガラナは、しばしば他の植物との配合によって、体重減を促進し、満腹感を創造し、穏やかな発熱作用を発揮します。
ガラナは伝統的に頭痛や偏頭痛に用いられています。1997年の研究ではガラナの持つ鎮痛効果が発見され、これは、頭痛だけでなく、神経痛、腰痛、リューマチに対するガラナの有効性を説明付けるものと考えられます。2001年には、ガラナを含む薬草の組み合わせにより、痛みや頭痛や偏頭痛に関連する他の症状を和らげる作用に関し、特許がファイルされています。
ガラナの持つ結腸やサルモネーリャに対する抗細菌作用に関するリポートも発表されています(14)。ガラナの抗酸化作用に関する研究に携わった研究者達は次のように纏めています。「ガラナは抗酸化作用を示します。なぜならば、ガラナは、低濃度(1.2 mcg/ml)においても、脂質の過剰酸化プロセスを阻害するからです。」1998年に行われたマウスを用いた実験では、ガラナエキスが著しく血液中のブドウ糖レベルを上昇させ、過度に引き起こされた低血糖症を抑える結果が得られています(16)。
自然にあるナチュラルな刺激剤としての著しい作用、そして何より人の健康に貢献するメリットにより、沢山の健康食品やサプリメントとして、或はハーブレメディーの配合素材として、またジュースバーのエナジードリンクメニューとして、ガラナは世界レベルでその知名度を高め、人気を集めています。しかし、ガラナの知名度を利用するために、単にガラナの名前をラベルに記載したり、或はガラナの代わりにカフェインを添加する、倫理観に欠ける製造メーカが存在するのは残念なことです。カフェインの含有量を保証したり、規格化したガラナエキス商品が今日では入手可能ですが、残念なことに、ガラナシードに天然に発生している"すべての植物化学成分"を濃縮したものというよりもむしろ、ガラナ粉末やエキス粉末にカフェインを後から添加することにより、エキス製品としての規格を成立させている場合が多々あります。米国Food and Drug Administrationが24種類の市販されているガラナ製品を対象とした検査結果を公表しました。それによると、色層分析グラフと分析の結果、検査対象とした商品のうち多くは、本物のガラナを有効成分として含有していないか、表示しているよりも少ない含有量である可能性を示しています。
■「ガラナ」はいつ誕生したのか?
ガラナ飲料の誕生は昭和33年。当時、その何年後かに日本に上陸すると言われていたコカ・コーラに対抗するため、全国清涼飲料協同組合連合会が開発した。「当時の日本の炭酸飲料といえば、ラムネやサイダーが一般的で、コカ・コーラが日本にやってきたら、商売にならないと危機感を感じていたようです。いろいろ調査していくと、『ガラナ』普及率の高いブラジルでは、コカ・コーラがあまり売れてないことが分かりました。このようなことから、コカ・コーラに対抗するため、ブラジル大使館の協力を得て、ガラナの実の輸入が始まったのです」(小原さん)
■なぜ「ガラナ」は北海道だけに普及したのか?
「コカ・コーラが日本に上陸し、やはり日本中にコーラ旋風が巻き起こりました。コーラが圧倒的なシェアを獲得するにつれ、ガラナ飲料の生産は低調になっていったのです。しかし、(本州から)北海道にコーラがやってくるまでに3年のブランクがありました。その3年の間に、ガラナ飲料は広く北海道民に定着したんです。内地のようにコカ・コーラ旋風を巻き起こすことはなく、今でも北海道で『ガラナ』が愛されているんですよ」(小原さん) 今では、透明なガラナの原液も開発され、その原液に天然香料で色を付けることで、いろんな色のガラナも生まれているという。
コカ・コーラに対抗するため誕生したガラナ飲料も今年で52年。今ではほとんど北海道でしか見ることができなくなったが、道内ではカロリーゼロのものなど新商品も続々と登場。北海道に行った時は、飲み比べして楽しんでみては?
■ガラナの地元経済への貢献
今日、ガラナは世界的にも知名度が高く且つ広く利用されており、特にブラジルの国民飲料でもある『ガラナソーダ』の主要成分であることは良く知られています。世界のガラナペースト商業生産量の実に80%がブラジル北部のアマゾン熱帯雨林の中、ガラニインディアンにより供給されており、それは野生栽培された種を手作業によりペーストへと加工するといった伝統的な手法によるものです。ブラジル政府は、熱帯雨林の原住民が採用している伝統的手法によるガラナ生産の重要性を認識しつつあり、ガラナの国内生産を増やす為に、1980年以降、FUNAI(NATIONAL INDIAN FOUNDATION)により多くのプロジェクトが立ち上げられました。現在、マナウスの地方行政当局の指導の下、ガラナの栽培や生産を通し、多くの共同農業が熱帯雨林に住むインディヘナ部族の経済を支援しています。
■ガラナとカフェインの関係
ガラナの種の化学分析を最初に行ったのはドイツの植物学者セオドア・フォン・マルティウスで、1700年代まで遡ります。マルティウスは優れた生理学的な手法を用いて、苦くて白い水晶の様な物質を種から取り出すことに成功しました。マルティウスはこれをガラニンと名づけましたが、これが後にカフェインと呼ばれるようになります。ガラナの種には最大5%(25,000〜75,000ppm)のカフェイン、300〜500ppmのテオフィリン(アルカロイドの一種)、300〜500ppmのテオブロミン(神経興奮剤などに用いる)が含まれています(9)。
キサンチンアルカロイド(カフェイン、テオフィリン<筋弛緩剤、血管拡張剤等に用いる抽出成分>、テオブロミン<神経興奮剤、動脈拡張剤、利尿剤等に用いる抽出成分)は、ガラナが持つ治療作用に大きく貢献していると考えられています。臨床研究では、テオフィリンは、心筋や中枢神経系を刺激し、敏捷性や注意を高めたり、心身疲労を軽減する作用があります。また、強い利尿作用も持ち、気管支の緊縮を低減するので、喘息に有効です。テオブロミンも同様の効果を持ちます。確かに、ガラナの民間伝承的利用法の多くは、このカフェイン含有により説明することがでいきると考えられます。カフェインに関する立証された効能の中には、脂肪を減少させたり、疲労を軽減する作用も含まれています。 |